きっと はなせる
るるりら

目が覚めて一番に 口にした言葉は
くちなし
薫り ゆたかな色彩の白
しずくを 湛えた光沢の葉

無垢を 口にするときの ふるえる くちびる
くちなし
きょういちにち なにを はなすことだろう
なにを 話す 
なにを 放す


町が動きはじめる
いらっしゃい いらっしゃい 店は 品を自慢し
テレビがスマホが 自信たっぷりに 優れた人や物を教えようとし
そこかしこに昨日をコピーしたかのような言葉が あふれようとし
昨日のままに すべてを押し流そうとする

すこし くちなしになったら
きっと 花せる

しばらくは なにもいわず 耳を かたむけ
昨日とは すこし違う口調で はなせる
きのうとは ちがっている友に
昨日の蕾が そっと ひらくかのように はなす

きのうとは ちがう季節の風に 身をゆだねながら
おもいを はなす 


自由詩 きっと はなせる Copyright るるりら 2019-06-03 01:19:12縦
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