盲目
鈴木歯車

おれは水溶性だから
泣いている人とか、
こういう灰色の
天気が嫌いだ、

カゲロウみたいに
目の前がふらふら歪んで、
傘の無い人もろとも
いきなり消えてしまうのは
怖いな、

 「匂う」
  「何の匂い?」
   「雨の匂い、
    いや、鉄の匂いがする」

血の匂いがするのは、
電線が目の前を切り落とす
空間兵器だから
ご覧、もうすぐ
暖かい夕焼けが来て、
朝はしっかりしてたはずの
おれの目もつられて
衰えていく、

なぜおれは泣いているのか、
盲目のきみをちょっと
うらやましい、
と思っただけ


自由詩 盲目 Copyright 鈴木歯車 2019-06-01 22:52:27縦
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