メドの赤い屋根の家 ☆
atsuchan69

かん高いガダルの啼く声が
白群の山々に木霊して
間近に海を見下ろすメドの家の庭には
彩り鮮やかな草花が咲いていた

山腹にあるメドの家の赤い屋根には
ダ、ド、マ、の翅のある猫が巣をつくり
ダは円く、ドは長く、マは角ばった住処を拵えた
とても縁起の良い猫の巣だ、と父は喜ぶ

庭に降りたダ、ド、マ、が土を掘る、
土に住む大型の多毛類を捕食するためだ
雨上がりの庭は蒸せた土の匂いが薫っている
早速、ド、が、多毛類を口に咥えた

裏庭にはタロンの木が植えられていた
タロンは毎年、甘くて苦い実をたわわにつける
母の一番の好物で、縁側でメドも一緒によくそれを食べた
種はプッと吐き出して、「ガダルの餌」と母は言った


自由詩 メドの赤い屋根の家 ☆ Copyright atsuchan69 2019-05-29 07:34:50
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