鶴を折るとき
帆場蔵人

おまえの手には
もう半ば潰れた
折鶴が死んでいた

折鶴がまた羽ばたくことを信じようとする
瞳に縋りつきたい誘惑、がある
だけど、告げなくては
いけないのだ、小さな手よ

おまえの手には死が、ぼくの
手にも死が織り込まれているのだと
あの煙りとなって空にとけていく
手にもそれは織り込まれていた

鶴を、一羽、折ろう
陽が沈むまでに一緒に
鶴を、一羽、折ろう

半ば潰れた折鶴を、手に、祈ろう

鶴を折り、生きていくしか
しょうがないのだ、ちいさなてよ

鶴を、一羽、折ろう
陽が沈むまでに一緒に
鶴を、一羽、折ろう

すべ、ての
折鶴が
地に落ちる
終わりを
おまえが
信じて
いる
としても
鶴を折ろう


自由詩 鶴を折るとき Copyright 帆場蔵人 2019-05-27 21:16:28
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