クリームソーダ
羽衣なつの



 姉の夢の中で、私は花束を喰いちぎりながら、踊っている。姉は洗い晒しのギンガムチェックのワンピースを着て、縫い針を一本、手にかざしている。

 姉の左眼に黒い穴が開き、私はそこにきれいな水色のクリームソーダをそそぐ。何かの底にクリームソーダが落ちて、「パチ、パチ」と、泡がはじける音がきこえる。

 姉の夢の中で、私は叫んでいる。

 「あなたは正しいです、美しいです。お願いですから目をさまさないでください」

 姉がワンピースをたくし上げると、陰唇が青く染まっている。ルドンの青よりも薄い。




自由詩 クリームソーダ Copyright 羽衣なつの 2019-05-20 14:27:11
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