麦わら帽子
ふじりゅう

飛び立った優しさが
稲の純朴を運んで
新しい命を与えるだろう
黒く染まった鼻の中に
はるばるやってきた光沢を
感じるのはなんでだろうな

あなたは
マネーゲームからは置き去りの
爪の間が汚い豚のような道を
どうして選んでくれたの?
めちゃくちゃ整ったフローリングが
愛おしく感じないのですか
でもね辻褄を合わせることなら
いくらでもできるんです
割とコンバインが好きだから
身を預けたかったとかね
けたたましい雑音に
吐き気も感じなくなっただとか

でも考えたって 麦わら帽子と
えらく整った容姿でどうでもいいね
全滅しても粉を食って
僕らは大丈夫なんじゃないかな

飛び立った優しさが
稲の純朴を運んで
伝説を踏んでいって
黒くそまったあなたの指先を
ただ握っていた
ただ握っていた
あぁ 1年ぶりだね ここから

麦わら帽子から
零れた滝のような髪の毛から
まだシャンプーのいい匂い
あなたの純朴が運んで
新しい命をもたらすだろう
黒くそまった大地の輝きは
遊びじゃないってこと
物理も 数学も 天文学も 今日も
超えた力で愛を震わせていたい
大好きな麦わら帽子のこと
あなたは覚えてるかな
しょうもないプレゼントは
真っ白な箱から抱きしめられた
稲の純朴が大切な命を運んでいく
誰もが外へ飛び出しそうになる
別に変わり映えしない日光の差し方を
なにより嫌ってるから
ありがとうなんて
コンバインの喧しい音が
かき消してしまうからつぶやいたんだ


自由詩 麦わら帽子 Copyright ふじりゅう 2019-05-13 03:59:39
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