えいえんの海鳴り
秋葉竹

からめあった足の白さが
波打ちぎわまで押し寄せてきた

夜半にくるくる回る満月
血に濡れた髪を真銀に染める

あなたの友人は
みな海底から這い上がり
石榴の頭であなたにすがりつく

汚れたかなしみを
詰め込んだ万華鏡を拾って月を呼ぶ

月は哭く



日曜の昼下がり

沖行く遊覧船があり



暑い異国の地で
恐れもせずに紙ヒコーキで空を飛ぶ

勇敢な馬鹿乙女がいるときく

翼あるものの末裔のくせに
重力に負けて飛べないくせに

乙女は戦う



濡れた砂浜に横になって
隠された慕情で砂の城を作る

すぐに波に崩される

えいえんの海鳴りのやさしさ

ひそむ情熱の赤たる黄昏の海面
人魚は泡に
人は砂に

すぐに闇夜に取って代わられる

えいえんの海鳴りのさみしさ









自由詩 えいえんの海鳴り Copyright 秋葉竹 2019-05-09 22:23:11
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