初化粧#2
ふじりゅう

ぼけた雲がニヤニヤしながら見下ろしている
2~3時間の命しかないロウソクが
辛うじて火柱を存命させているような
静かな私たち
線香花火の真ん中で
大海を泳いでいる

誰も助言なんかしちゃくれない
遊び疲れて眠りだす家々
言葉でしか伝わらないこころを
言葉以外で伝えようとしていた
いなか電車がことんことん
遠くを過ぎるけど
静寂を一層駆り立てている

空想のキャンパスにありったけのバカな恋を描いて
君と私は今まるで火影のようだ
ほっぺを見たら正常な世界が爆撃されて
最後の火花がゆっくり散る様を
焦りすぎて見えてもいなかった

バケツから終わりの鐘が鳴る
クローズアップされた土の粒
ぐちゃぐちゃの臓器から
捻り出した言葉「おわっちゃったね」
恥ずかしいほど若やかな
葉っぱが風を作る
熱気を持っていく
薄ぼけた月が眩しすぎるのは
あの雲のせいなのでしょうか

夏祭りの余韻でぼけた空 雲は
「いつも」の分子と混ざってまろやか
片隅に残っていた初化粧の粉を
拭き取った母のほほえみは
水道の音に溶け込んで分からない
いってきますが叫ばれる
まだ焦土のままの脳みそで
また扉を開け 母親の影を追っていく


自由詩 初化粧#2 Copyright ふじりゅう 2019-05-08 12:09:57
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