夢〇現(改訂)
ひだかたけし

世界ハ
巨大な鏡像スクリーン
透明な皮膜のなか
ふわふわ微睡み感じ取る
人、岩、森、猫、大海原

唐突、道路に開いた穴
その深淵ハ
弾け飛んだ信頼の重み
傾く生を朦朧と
肉の苦痛に曝しつつ
実感なく歩を進める
虚脱した骨組みに
冷たい衣を纏わせて
己、また今日も今日も

くるくる廻る大車輪
風もないのに森は揺れ
震える手元と躓く脚
繋げた他者達何処いった?
(ああ、娘よ、愛娘ー)

逡巡の末
透明な皮膜
突き破るとき
意識の狂乱、方位喪失
無常この世の足場抜け
ひっくり返るバケツに 
水ハからから
がらんどうの魂形硬化
乾きの砂漠をループする
七転八倒叫び悶絶

渇、活、克!

肝据えろ、
世界ハ
巨大な鏡像スクリーン
人、生かされて生き
時到れば
死なされて死ぬ

了。



自由詩 夢〇現(改訂) Copyright ひだかたけし 2019-05-05 12:54:08
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