青春と詩
立見春香

飾らない言葉を使って
詩を書きたかっただけ

言葉の洪水に押し流されたくはなくて
言葉の香水をこの身に纏いたいだけ

とても重要なことは
とても簡単に言うことができるから
言葉遊びいがいのなにものでもない
わたしの青春って
なんだかわからないまま終わりそうで怖い

目を周りに向けると
準備しても出発しない人がいる

あしたなにが起こるか
わからないからでしょう?

金属摩擦みたいな日々の暮らしの中で
でも過去は振り返らない
月光だって太陽には戻らないから



わたしの乾いた唇に触れる
ダイヤモンドの原石を見つけた
あなたのしろくほそくながいゆび
わたしをさしつらぬくひとさしゆび

ええ、ええ。
そうですとも。
諦めることなんてわたしの青春で
もう、何度も何度も味わわせていただきました

詩は詩人によって書かれることが
ないというどころか
詩人は世界に存在する意味がないと
告げられた月の川を探していたあの夜

わたしのくろくがさついたむくんだくびが
ことりと落ちた音を聞いたのです

それが空からの最後の鎌の一振りだったから
わたしの青春で詩なんて
詠んでる意味なんてないはずだったのに
なんでまだこんなにも終わっていないんだ
諦めたはずなのに

もうわたしの
飾らない言葉を伝えて
心を知ってほしいという夢を夢として
閉じこめてしまったはずなのに
あの夜ちいさな命に蓋をして















自由詩 青春と詩 Copyright 立見春香 2019-05-04 10:18:19
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