合掌/透明
新染因循

「合掌」

時が合掌すると
測りがたき遠方の地平は白む。

赫きは天から天へ、
高く響きあふ鐘の音色。

この果てのない寺院に
しかし動くものはなにひとつない。



「透明」

肉体といふ暴力に晒されると
もう形もないのに壊れてしまふので
透明になった指先で
色を喪くした影にふれよう


自由詩 合掌/透明 Copyright 新染因循 2019-05-01 21:04:37
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