インパラ・ロード
umineko

おはよう
みどりの季節が
とても好きです
新しい顔
懐かしい顔
笑顔と同じで
世界は花であふれている
だけど
私はくるしい
失ってしまった笑顔を
私は知っている
つい昨日まではそこにあったものが
そこには ないんだ
そんな中で
私は生きている

生まれ変わりたいとさえ思う
だけど
虫になっても
花になっても
きっと私はさみしいだろう
インパラになって
草原を駈けたところで
俊敏な黒ヒョウに
喉笛を裂かれ息絶えるのが
せいぜい

新しい元号になって
それおもしろいですかってずっと思ってる
嫌いじゃない いいことばだ
だけど大事なことはそこじゃない
今日も誰かが泣き
誰かがそれに付け込む
私は

インパラになって
群れを離れ
あの小高い丘の上に
ひとりで立とう
沈みゆく夕陽を見ながら
ああ
私はひとりなんだって
360度
誰も助けに来やしない
あとはもう
走るだけだ
力の限り
全速力で

草をへし折り
水辺を蹴散らし
走れ
走れ
走れ





自由詩 インパラ・ロード Copyright umineko 2019-05-01 15:58:10
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