早番であがった日
うめバア


早番であがった日
明日のこともわからず
夕暮れに、川の流れを見てる

社員さんの嫌味も聞き飽きたなと
すこし考えてみる
あたしなにやってんだろ。

お金を触るから、指が汚れる
手の水分が奪われて
爪がかさかさになる

やっぱ正社員だよなぁ。
9時5時で働いて、お給料もらって
ボーナスとか、社会保険とかあるし
いいよね、正社員

でも、どんどん、遠くなるな。
25歳過ぎたら、まず遠いよな
それから、28…30…って…

あたしどうしてか正社員になれなかったんだ。
平凡な、フツーのOLになれなかったんだ。

30過ぎたら何がどうなってるのかな。
それまでに、世の中どうなっちゃうのかな。
どんどん、どんどん、遠くなってくな。

悪いのかな
あたしが
いい加減な人間だからかな
根性なしなのかな

うーん、やっぱ資格かな
持つべきものは手に職っていうし
でも、何したらいいのかわかんないね

桜が咲くんだ
もう春なんだね

新入社員の人たちが歩いてる
似合わないなぁ、スーツ。
どうしてなんだろうね、すぐわかっちゃうの

見る人がみれば、すぐわかるんだってさ…。
あの人たち、あたしと何が違うんだろう
橋の上から、ガムの食べかす
捨てたりしないから?

空が赤くて風がぬるい
早番で終わった日
橋の上にたって、川の流れを見てる


自由詩 早番であがった日 Copyright うめバア 2005-03-31 00:56:37
notebook Home 戻る