うまれてから
ぽりせつ

うまれてから
なんにちたったのだろう きょう
うまれた日は だれにもいちどしかないのに
たんじょうびは なぜ
なんどもおとずれるのだろう

あつめるほどに 足りなくなってゆく
ことばのたくらみ
に疲れて ねむりもたやすくなったころ
ふと おもいにふける

心はときおり こうした振舞いをみせる

死をおそれることが いのちの
ひとつの美貌なのだから はしっこは
ふかづめのように傷ましくありたい いつまでも
紙のように 黄ばんでゆく肉体で
しかし誰よりも 無様に抱いてみせる わたしの墓石を
澱(おり)のように 沈んでゆく胃や肺で

こわくない という
夜行性の疾患が こわい
少量のウイスキーや おととし贈られた詩集や
ろうそくの火は
毒に見せかけた解毒 だろうか
解毒に見せかけた毒 だろうか

たんじょうびが近づいてくる
うまれた日が遠のいてゆく

死を 怖れている


自由詩 うまれてから Copyright ぽりせつ 2019-04-25 08:31:35縦
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