僕らのワルキューレ
中原 那由多

時雨の後退り
窓が泣くような音がする

時雨の後退り
窓が泣くような音がする

時雨

後退り


泣く
ような


する

時雨の後退り窓が泣くような音がする

すーーーーーーーーーーー

すーーーーーーーーーーー

乾いた風がやってくる
化粧水が染み込むよりも
一足早くやってきて

観覧車、回る
観覧車、揺れる
ガラリと
ガラリと
ガラリと
回る
カラリと
カラリと
カラリと
揺れる


音になって
降り注ぐ

音になって
降り注ぐ

あっけらかんとした表情で
固有名詞を連呼した
指先、見えない色をなぞって
浮かび上がった
さようなら
.
.
「再構築」

音がやんで

吹っ切れた


疾風迅雷

大号令

どっどどどっど怒号の合図

ああ悲しいかな
あの子の背中を
追いかけて
追いかけて
授業中の静かな廊下を
駆け抜けて
駆け抜けて
保健室へ飛び込んで
白いカーテンをあけ放ち
シーツに木漏れ日おすそ分け



やっぱりあの子はいなかった
いなかったのだ
最初から
きっと
これが

僕らのワルキューレ

だから

この時どこかで

水滴が、落ちる

(ぱ)



自由詩 僕らのワルキューレ Copyright 中原 那由多 2019-04-24 22:31:20縦
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