君の名前はまぼろしになった
ふじりゅう

ギィ 流されるままに間違った舟
白い半紙を行く
長い髪に 長い髪が絡まる
黒い魚がぷかぷか浮かぶ

白色の部屋 隅に果物とか花 窓の外に桜
なまっ白いカーテンの隙間から
はみ出すどす黒い日差しが
痩けた貴方の頬の
おぞましい笑顔を克明にしているし
俺の心臓を鷲掴みにしているよ
いつかの冬 カラスが目の前を掠め飛んで行ったのとか
早すぎる雪に黒い羽が散っていたのとか
あと、爪を切らずにヤったのとか
常に1円玉しか投げなかったのとか
あとあと
仮病を患っていたのとかも悪くないし
デザートをおごろうかとか考えてたし
石みたいな米粒を飲み込む
ごぐり とかいう音 うざいし

大人のアカシの喉仏
3人は夢だった
火花散らしてシねば
救われると思っている愚かな算術
色んな口述を用意しても
全てショーウィンドウのそのまた向こう
全ての準備物を
特攻隊に任せていたい

今はなき白夜の帳
ナイフで抉りとって 君を持ち去った夕日は沈む
右手には白い羽ペン シルエットがカアカアと高笑う
窓の外で賑やかに舞う 唐紅のソメイヨシノ

心臓がじわじわじわ壊死していく
貴方は笑っている
半紙に訳の分からない象形文字を書き続けても
君だけは消えている

爆速で高鳴る鼓動に駆られ
貴方の、俺の、りんごを掻き千切った
流れ星 流れ星 追い越した影の甘い香りだけでも変えないで欲しい
酔っぱらいのままダサい妄想を投げていたかった
馬鹿になるまでこのままだよ
流されるままに また流されるままに


自由詩 君の名前はまぼろしになった Copyright ふじりゅう 2019-04-24 14:36:25
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