十首
こたきひろし

人前を憚らないで発情し身悶えてるよ愛しい猫が

鬱になる鬱にならない人の差を鬱になるほど思い悩むな

足りてでも満ちてないんだ毎日がそれがさびしい慰めをくれ

踏み切りの線路の上の陽炎か儚く揺れる女のこころ

「アイシテル」口で言ってと言う人に「愛してくれてる」訊けない私

事すめば背中を向ける男だと愚痴っていたよ歳上の人

下手くそな船の錨の入れ墨思い出す中華コックのふやけた肌よ

服捲れ背中の模様垣間見た堅気姿に何も言えない

減らないよ若いんだからこの体娘に言われ黙って聞いた

娘にも男できるの自然だと納得しても複雑なんだよ












短歌 十首 Copyright こたきひろし 2019-04-21 11:43:09
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