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マサヒロK

マンション管理的な仕事をしているわけですがマンションの中におかしな人がいるのです 一年に一回くらいの割合で頭がおかしくなる時期があるのです 「上の階から水漏れがする」という事で上の階へ行ったらその人の部屋のわけです 「すいません開けて下さい」と頼んでも門灯を何回も点けたり消したりするだけでドアの向こうでぶつぶつ言っているだけで開けてくれないのです「下の人が水漏れがして困っているので調べさせて下さい」と何回も何回も優しく頼んだらようやく開けてくれたのです 開けてびっくりゴミ屋敷 異臭の嵐 足の踏み場もない 思わず土足で入ろうとしたくらい で、その人が部屋の中でぐるぐる回っているのです 「光です光です、あなた光が見えないですか、光が壁に跳ね返ってぶつかってくるのです、恐いから私は打ち返したのです、打ち返したのです、ここに光の線があるのが見えないですか、あなた見えないですか」 水漏れといえばいわずもがな台所洗面台、得体の知れないものが詰まっていて排水が流れていない 「すいません、排水が詰まっているようなので見せて下さい」 「はい、処置して下さい、どうか処置して下さい、文学的に考えてそれが適当と思われる、思われます、どうか全体的に分析して下さい、 処置の方進めて下さい、哲学して下さい哲学して下さい、それがひとつの結果なのです、どうか整合的に考えて処置の方お願いしますお願いします」 「何か詰まっているようですね」 「詰まっています詰まっています 投入します投入します」 「すいません、缶コーヒー注ぐのは勘弁して下さい」 「あなた見えないですか、光が見えないですか、私は恐いんです、恐いから打ち返したんです、打ち返したんですよ」 「…主任、この詰まりは私の手には負えません。それにこの人がそばにいたんじゃ何も出来ません」やがてようやく警察、保健所、その人の親、みんなで集まって大騒ぎの末救急車に収容 そのまま入院 二、三ヵ月は入院しているだろうと その時の日付0X1012

※原作では、文字列がぴったり正方形になるような遊びを施してあるのですが、インターネットで見るとそうはならないみたいで残念でした。

(40代制作)


自由詩 0X1012 Copyright マサヒロK 2019-04-19 22:43:32
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