殺人マシン
花形新次

生きるためには
走り続けなければならない

87歳じじいは
妻ナンシー(85)を
助手席に乗せて
太陽の輝く街を
走っていた

「ベイビーナンシー、俺たちは風だ
風になるんだ
奴等から見れば
無謀な命知らずかも知れない
しかし、俺たちが知らないのは
ちっぽけな奴等の命だけさ」

87歳じじいは
血に濡れた
ナンシーの頬にキスして
殺人マシンのアクセルを
目一杯踏み込んだ




自由詩 殺人マシン Copyright 花形新次 2019-04-19 22:26:32
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