待つ
ひだかたけし

全てが終わり
全てを失い
命は保たれ 
風が吹き

この静けさのなか、
この透明のなか、

私は深い井戸の底に居て
寒さと闇に震えながら
一日に一度の来光の
その瞬間を待っている
現に在るすべてのもの
輪郭くっきり沸き立つを
唯ひたすらに待っている

(そのとき時間は確かに止まり
そのときすべては赦され繋がり)

全てが終わり
全てを失い
命は保たれ
風が吹き

この静けさのなか、
この透明のなか、
私は執拗くこの生にしがみつき
〃永久なる今〃を待っている


















自由詩 待つ Copyright ひだかたけし 2019-04-19 01:02:13
notebook Home 戻る  過去 未来