春の脈拍
塔野夏子

やわらかな緑の丘の上に
少年たちが一列に並んでいる
一人ずつ順に
チューリップに化けてゆく
そしてまた順に
少年へと戻ってゆく

少年たちの頭上には
半透明の心臓がひとつ浮かんでいて
とくん とくん
春の脈拍を打っている





自由詩 春の脈拍 Copyright 塔野夏子 2019-04-17 15:48:08
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