夢の夢(改訂)
ひだかたけし

ぼぅっと座っている
木陰のベンチに
黒アゲハが周回し
近付いては離れていく

午前十時半、

照り映え揺れる木立の緑が
明るくまた濃く暗く
並び繋がるその相貌を
痛む目こじ開け凝視する
遠いヘリコプターの響き降り
静けさにじわりと懐かしく


 昨夜の夢は酷かった
 敷布団を拳で打ちながら
 汗びっしょりで目が覚めた
 近頃は毎晩こんな有様だ
 けれど昨夜の夢は惨かった


ぼぅっと座っている
木陰のベンチに
黒アゲハが周回し
近付いては離れていく、
この底の底の時流に乗り
希望もなく絶望もなく
緑の海を二羽、三羽
重なり戯れ渡っていく

















自由詩 夢の夢(改訂) Copyright ひだかたけし 2019-04-16 18:56:21
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