かあいそうだたほれたってことよ
beebee

 この言葉が随分昔から頭にありました。どこで聞いたのか、もしくは読んでいたのかと思っていたのですが、朗読ソフトで久しぶりに夏目漱石の『三四郎』を聞いていると、この言葉が出てきました。
 アフラ・ベーン(17世紀英国初の女性劇作家)の『オリノーコ』に出て行くる言葉で“Pity's akin to love” の訳として三四郎の友人である佐々木与次郎が翻訳して言う言葉なんですね。
 自分はもう随分昔に読んでいて、話の内容も覚えていなかったのですが、その中に出てきた言葉だけはリアルに覚えていました。「可哀想は惚れたってことよ」で覚えているので、夏目漱石を踏まえて引用している他の小説で覚えているのかもしれません。それでも、やっぱり自分の考え方というか、基本的なところが随分古い時代背景を引っ張っていることに驚きました。
 あともう一つ、『露悪で偽善』という言葉も登場人物の広田先生の言葉として出て来る。人間が複雑になって来て、偽善で偽善だけじゃなくて、『露悪で偽善』をする奴も出てきたなんて、言わしめています。 この言葉も自分が部下に人間関係を説明するときによく使った言葉です。
 夏目漱石は1867年生まれなんですが、その年に坂本龍馬が暗殺されています。自分の根っこの時代背景は随分古い、もしくは人間とはあまり変わらないものか、とも思いました。


散文(批評随筆小説等) かあいそうだたほれたってことよ Copyright beebee 2019-04-13 18:06:55
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