ある春の日  (二編「ぽつんとしてる」「Anemone coronaria」)
るるりら


【 ぽつんとしてる 】

石垣に咲いた たんぽぽ
ぽつんとしている
杉木立の山道で 電柱
つん、と 立つ
ガードレールの下に大きくなれないままの大根の花が 
それでも りっぱに 両手を広げて咲いている
んぅぅぅぅん
ひろがる春の陽気に のびをする

おてんとさんさんありがとさん おてんとうさんが
ぽつんとしたものを そっと
つんつんと つついてる
ん。ひざしの感触が全身をつつんでいる


雲が流れ
風がよそぎ
ぽつんと ぽにょんをくりかえし
しずかな こころで あるきだす









 【Anemone coronaria】

脈を打つような
真っ赤な色彩の
一輪のアネモネ
石と石の隙間の
細い茎の先に蕾

炎のようにゆらぎ
やわらかな花弁を
覗いてみるけれど
花の中までは 
みえません

小指の爪より ちいさな花はブラックホール
見えているということの奇跡
はてのない波動を
ただただ
発しているのか
それとも
あかるさの奥で
すべてを終えようとしているのか





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即興ゴルコンダ(仮)参加作品http://golconda.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=5985582#12759940

【 ぽつんとしてる 】は、るるりらが題を出しました・
【Anemone coronaria】は、 みうらのばでぃすきー さんの出題です。みなさんもぜひ参加しましよう
    


自由詩 ある春の日  (二編「ぽつんとしてる」「Anemone coronaria」) Copyright るるりら 2019-04-13 17:56:07
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