かわるもの、かわりゆくもの
るるりら

むかしむかしあるところに大正という村で育った少女がいた
彼女は いつしか百歳を超えて
「敬老会に行っても 最近は若いモノばかりで つまらん」と言い
八十を超えている若い衆が ぐっと笑いをこらえた

むかしむかしあるところに昭和という町で そだった少女がいた
「最近の若いもんは 車ばなれしてて つまらん」と いいながら
どこかしらない美しい世界に いつまでも少女のように憧れていた

むかしむかしあるところに平成という街に そだった少女がいた
彼女は 万葉集におさめられているという梅の話を
いにしえの言葉のまま覚えようとしていた

そして いまも
すべての少女たちの すこし赤らめた頬が
春霞の向こう側に かすかに見えている




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即興ゴルコンダ 参加作品。お題は こはらあきさんです。
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自由詩 かわるもの、かわりゆくもの Copyright るるりら 2019-04-01 15:15:54縦
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