朝を叫ぶ
新染因循


環状につらなった日々、
一日をくぐりぬけるだけの夜は
きっとぼくの忘れてしまった
大切なことの影法師たちだ。

明滅する日々に目眩いたぼく。
かつては天を仰いで待っていた。
変わらずおとずれる朝、
もたらされる朝を。

いつからあのトンネルの外に
この蒼い水平が拓けていたのか、
いつからぼくはここに立ち
どうやってここに来たのか。

そんなことはきっと
わからないままでいい。
わかることはたった一つだ。
ここには朝がもたらされない。

流転しない夜のなかに囚われていた
ぼくを越えて、越えられずに
流れた日々を越えて、
ぼくは朝を叫ぶ。

終わらない夜でもいい。
そのなかで伏すとしても。
この声こそが朝になるのだと
朝を叫べるのなら!


自由詩 朝を叫ぶ Copyright 新染因循 2019-03-29 23:39:02
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