夜を飛ぶ鳥・改稿版
帆場蔵人

磨り硝子の向こうをよぎったのは
夜を飛ぶ鳥なのだろうか

地に落ちていく誰かの魂だろうか
生れ落ちていく無垢な魂だろうか
それとも夜に自由を得る地を這う
人々の束の間の歓喜の夢かもしれない

窓の片隅にある灯台のひかり
もし夜を飛ぶ鳥がいるとしたら
あのひかりを目印にするだろう
或いは遠い故郷の火を胸に灯し

ぼくの見えぬところでとんだり
はねたり はじけたり

ぼくも行かなければならない

とんで はねて
鳥にはなれないだろう
けれど地を這い地を耕して
海から沢山の恵を受け取り
生きる人々のなかを歩む
ぼくは自分の灯台を
時折振り返りながら
いつかはじけていく

そのときこの泥に塗れた魂も
夜を飛ぶ鳥になるのかもしれない

磨り硝子 いちまい隔てた夜を
鳥たちがあらゆる方角に落下していく





自由詩 夜を飛ぶ鳥・改稿版 Copyright 帆場蔵人 2019-03-27 20:25:55
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