新宿駅から歩く
番田 


手に取るようにしてわかった 店員のひどい作り笑い
一人で海賊版を探して歩いていたあの頃
ストラトキャスターの音色に狂っていた 僕が
好きだったフレーズを試奏した店


毛皮のコートを脱がせて 思いを語らせた暗がり
友達と 居酒屋で そんな女のことを口にして飲んだ 
通りすがりの女のために高すぎる服を買い
鏡に映しださせた 真っ白な乳房を見つめながら


数少ない言葉と ああ そして
いくつもの そこで行われた面接によって
座ろうとしていたイスは消えていたことを
絵筆を買いに来た店で思う


駅前の人混みは 昔来た
学生だった僕と変わらない思いがする
新宿駅は かつて 僕が訪れた
学校へ行く途中の乗り換えの駅でもあった



自由詩 新宿駅から歩く Copyright 番田  2019-03-27 00:11:41
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