泣いてたのかもしれない
AB(なかほど)

  
金曜の夜
彼女が出てった
理由なんか知りたくもない
土曜の午後から彼女のものを片付けてると
冷蔵庫の奥から何重にもラップされたくさや
彼女が嫌いと言ったもんだから

島の親にはわるいけど
臭いもんなあ

夕方、窓を閉め切って焼いてると
一人じゃつまんない って
彼女がビールをぶらさげてやってきた
ビールと合うのかなと言ってるそばから
くさいくさい
と笑いながら彼女はそれを千切って食べる

戻って来た理由もどうでもいい僕も
ほんとにくさい
と笑って食べた




(臭いもので蓋をする、改稿)


自由詩 泣いてたのかもしれない Copyright AB(なかほど) 2019-03-26 21:36:38
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