うさぎの貯金箱
ナンモナイデス


つきせぬ思い出に
背中が揺れる

まだ月が
まじかに感じられていたのに

真っ白な
あまりにも真っ白な

終焉が訪れた
もうあれから半年

生を与えられた者が
受けざるをえない定め

真っ白にされてゆく
終焉

食器棚の中で

片耳が落ちた
うさぎの貯金箱

母がかわいがっていた
真っ白な貯金箱

お前もひょっとして
ゆこうとしたのか

バラバラに壊れて
ゴミに出されたら

ゆけると
思ったのかい

あのぬくもり

母のてのひらの
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自由詩 うさぎの貯金箱 Copyright ナンモナイデス 2019-03-26 18:56:32
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