詩について思うこと
ふるる

詩というのは、心情の吐露とか、綺麗な風景を綺麗に書くとか教訓めいたこと、哲学めいたこと、社会批判、を共感を得やすいように、大勢が納得するような比喩をつかったり美しい表現をしたり、あるいは素敵なぐっとくる比喩を披露したりして、書く、というのが教科書的で、その他、文字を物として扱って色々に配置したり動かしたりして視覚的に楽しいコンクリートポエトリーがあったり、音楽っぽさや雰囲気を表現するような象徴詩や、普通の言葉の使い方や意味をぶち壊す?限界を広げる?新しいものの見方を提示!みたいな意味合いのもあるし、ほんとにもう何を言ってるんだか何が言いたいんだか全く分からないのがあったり、色々あります。
意味が分からないのは脳が疲れてしまうので「難解」って言われて普通の人には避けられてしまいます。

それで、私がどういう詩を書きたいかというと、詩で何か意味のあることを言うとか表現するんじゃなくて、言葉と言葉を組み合わせて、何かの場所なり、世界なり、物っぽいものなりを、作りたいな。と思います。(表現と違うのは、作るに際して一貫性やテーマにさほどこだわらないというところ)
意味のある詩、抒情詩や叙景詩も素敵だなー、美しいなーと思うんだけど、いざ、自分が作るとなると、書いてて面白くないし、特に吐露したい心情とかもないし教訓や哲学や社会批判は普通の文章でいいと思ってるし。心のうちを書いて、共感を得たいんだとしたら、漫画が一番適した媒体だと思うんです。美しい女性。だったら文字が一番いいんだろうけど。人それぞれに理想の人がいるから。
それに、言葉って実は、本当に何かを伝えたいと思う時にはあんまり役に立たないツールだと思う。説明書や論文にはいいんだろうけど、思いってすごく複雑だし、受けとる側のコンディションにも左右されちゃうし。やっぱ声の調子とか態度とか込みじゃないと微妙なニュアンス伝えられない。
というのは詩を書きはじめた頃から感じてて、どうも嘘っぽい。
もっと複雑なことを感じているのに、それを表す言葉がない、同時に和音を鳴らしたいのに、文字を目で追っていくのではそれは不可能。言葉だけで何かを伝えようとするのは、常に一本指で演奏してるような感じです。
じゃあ、自分は詩では何をするのかっていうと、最初に戻るけど、言葉で何かを作る…
できたら読者の心の中に、とある場所とか世界とかが作れたら面白そうだなって。状況説明をするとか、色んな人が喋ってるとか、読んでいくとあれってなったり笑ってしまったりっていう変化が楽しいとか、そういうの。小説と似てるけど違うのは、ドラマを作らなくてもいいし、特に筋がなくても、人が色々変わっても、そういう詩なのかな?って読んでもらえて、短くてもいいし、1つの場だけを作りたいなというのに適してる。
我々は言葉に頼って生活してるので、簡単に騙されてしまうから、そういう癖を研究したりして。
だいたい言葉って、まじめな創作を書いてくとどんどん不幸な孤独な感じになりがちなんだそうで。あと、不幸とか否定的なこと書くと手っ取り早く知的に見えるんだそうで。言葉で表現した不幸な孤独な感じってまだまだ底へ届いてない。という気がします。現実の自分はもっとつらいし苦しいし悲しいと感じているのに、それを言葉でひとつに丸めて言うのは、まだ足りない。と思う。ただ技術が足りないだけかも。


詩でお気に入りの場所を作る

やはり生きるのは、今も昔も、どんな生き物にとっても、自然や周りの環境との戦い。意識してなくても、全員が日々戦っていて、そりゃあもうへとへとなのです。家やお水があるっていったって維持するためには働くしかなくて、働いたら色んな人がいて軋轢も多少はあるし。まず、生きるのはすごい大変な事なんだって認識をみんなもっと持ったらなと思います。そのためには保険入るとか健康診断受けるとか防災対策するとかのリスク減らしももちろんのこと、自分にとっての安住の地、逃げ場、ストレス解消法、をなるべく沢山、持てるだけ、ありとあらゆる手段でもって獲得していかないといけない。という気がします。スポーツの人は、故障した時のために家でのお楽しみを探した方がいいし、人と会うのが好きな人も一人の時間を楽しく過ごせるようにしといた方がいいし、家でのお楽しみがある人は、多少は身体を動かす何かがあった方がいいし。素数見てれば幸せ。という人がいるらしいんですが、それって場所もお金もいらなくて、最強じゃないですか…
詩で心情吐露に満足できない人は、詩で自分の安住の地、シュチュエーションでもいいけど、を作ってみてもいいんじゃないかな?と思います。言葉の心地よさって、意味だけじゃなく、リズムや見た目や組み合わせなどなどいっぱいあるので。
イラスト界では、みんな、自分の好みの絵とかうちの子(自分の理想を盛り込んだキャラ)をこれでもかって描いてアップしてるのに、詩の世界って、すごい真面目だなーと思います。もっと、意味そっちのけで、自分の好きな言葉や組み合わせだけで作って、読めば自分がほっとできる詩とか、あっていいと思う。そうやって書いた詩は意味もテーマも特にないので「難解」って言われちゃうかもですが。

というようなことを、アメリカの詩人ジョン・アッシュベリーのことを書いた本を読んでて思いました。彼の詩は、すごく奇妙で、意味不明、でもちゃんと読ませるように作ってあってなんだか楽しくて、本人も詩で特に言いたいことはないと言ってて、まさにお気に入りの場所を作ってる感じなんです。日本語訳ではあんまり面白くないんだけど…


散文(批評随筆小説等) 詩について思うこと Copyright ふるる 2019-03-24 13:45:15
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