循環
帆場蔵人

誰かが正しいという循環から外れても
心臓は打ち、もの思わぬことはない
放たれない言葉の流れが澱み

わたしはわたしから溢れ
低きに流れて見上げるのも
疲れるから地底湖になっている

とてもとてもつめたくひんやりと
さいぼうをふるわせておとをだす
ことばにならぬげんしのささやき

それから、それから、それから、わたしは

コインランドリーで乾燥機の回転に
眼をゆだねる青年の唸り、真夜中に
配管を流れる液体のうねり、薬液が
血管に注がれていく末端から心臓へ
わたしはわたしの中を循環し続ける

誰かが正しいという循環から外れても
心臓は打ち、もの思わぬことはない
それでいい、震えよ、言葉になれ
祈りのように、ただ、そうあれかし



自由詩 循環 Copyright 帆場蔵人 2019-03-23 21:47:44
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