紙のうら
帆場蔵人

透けた文字の凹凸
まだみぬ未来の影を踏むように
まだ逢えないひとの指先を数える
まだまだまだ未だこない時が記されていて
凹凸に触れるゆびさきは酔い痴れる

うらおもて おもてうら うらうらら
なんてスリリング/光さへ超えて
相対性理論?/しりやしないけれども

紙のうらにはさらにうらがあり
凹凸が出来るほどに重ねられた
逢瀬、貴船へと歩いた道で
朝顔の蔓を指に絡めたひと
行間の川にうかぶ鏡文字の漁船たち
乱獲されたあほうどりの羽毛の散乱
故郷の町とあの街が散らばって
紙のうらにもおもてにもうらがある

かみのうらおもてをなぞりうらうらら
ゆきつたどりつひとはうらはら

はらはらと夜がとけてゆく
射しんだ光が照らした 一文
ゆびさきのゆくえは しれず




自由詩 紙のうら Copyright 帆場蔵人 2019-03-21 18:34:08
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