忙殺
北村 守通

必然を失っていた

逃げ水を
振り返ることも
なくなっていた

明日やってくる
昨日に
なにがあったのかも
思い出せないようになっていた
なにがあったのかも
気にならないようになっていた

明日
しあげなければいけない
書類の
変更内容だけは
家に帰りついても
いつまでたっても
頭の中にまとわりついている
家で
済ませてしまえば
いくらかは楽になるような気もしているが
重い体は
動かない
それでも
布団に入るでもなく
机の中に
くるまっている


自由詩 忙殺 Copyright 北村 守通 2019-03-18 00:34:24
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