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中原 那由多

かがり火を消し去る
純、潤、順

水が焼ける音
の、背後からは
翼をもがれた旅人が
一人
赤の渇望へと
にじり寄る
旅人が
その
赤の渇望の
窪みへと
とく、っと流し込んだ
安い酒
赤の渇望は
ぷくり、と
膨らみを帯びる

かと、思いきや
甘ったるい瘴気を
ぷんと漂わせながら
塩辛い体液を
ぐちょりと撒き散らしながら
縮こまり
うずくまるかのようにして
タンパク質の
膜を
すぅっ、と張っている

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旅人は
赤の渇望の
その
行く末を
見届ける
、こともなく
捨て身の拳を
赤の渇望の
その
蛙の卵であるかのような
生命力に振り下ろす
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ぶるり、と
震えた
赤の渇望の
その
白玉のような
艶が
目玉に
見えてくるのだ
その
目玉は
ぐるりを
舐めるように
見渡してから
止まる
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首筋
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痛覚
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雖牙ヲャ縺ォ迢ゅ▲縺ヲ豁サ繧薙〒縺?¢
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破裂

翼をもがれた旅人は
泥で
顔を
洗う
かのように
開き直って
先を
行く
曇天
その
隙間
から
差し込んだ
差し込んだ
絶対
から
ずるり、と
漏れ出す
怪物の
舌先は
桃の
果汁を
含み、笑っている
きのこ

胞子を
飛ばしたように
赤黒い
皮膚が
風に
張り付き
錆になる





これが
切れ端
切れ端
から
蔦が
するり、と

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赤の渇望は
紙一重

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自由詩 イリスィリサイト Copyright 中原 那由多 2019-03-13 00:39:59
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