来たので
はるな



来たので、
わたしは
行きます

黒ずんだ窓の向こう側
鳥たちが飛ぶその上を
沸きあがるようにして
来たので

窮屈な靴ばかり履いていた
厚ぼったい肌をしてがたがたふるえて
100の望みを書いた薄ぺらなノート
噛みあとだらけのえんぴつ

待つともなく暮れていく生活の糧に夢をあて
汚れた指を笑い
コンビニの誘蛾灯に怯えたり
点数制の笑顔で表を作ったり
春には春の、
夜には夜の冗談をして
この体の全部嘘にできたら良いと思ったりした

けれど朝、
わたしは行きます
世界は来た
つめたくて痛い速さで
黒ずんだ窓の向こう側
鳥たちが飛ぶその上を
沸きあがるようにして




自由詩 来たので Copyright はるな 2019-03-12 21:36:35
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