雨が降らなければ地は潤わなくて
こたきひろし

たとえ
どんなに足が遅くて
地味にコツコツ歩いていても
一度に雲行きがあやしくなって
その内にザァザァ降ってきたら
たちまち道はぬかるみ
傘の用意がなければずぶ濡れの人生なのさ

たとえ
一緒に歩き出しても
気遣いや思いやりが時に風化してしまえば
その内に足の速い方がかまわず先に行ってしまうものさ

そんなものさ
そんなものさ

でも先に行ってしまった方が
開いてしまった間隔に気がついて
足を止めて振り返ってくれたらラッキー
だけど
そのまま待っていてくれるか
それとも自分の所まで戻ってくれるかは
その人しだいだ
それぞれの心の痛み具合だから

たとえ
どんなに足が速くても
何度も雲行きはあやしくなるし
ザァザァ降ってくるのさ
足元がはぬかるみ歩くのが辛くなっても

どこにも逃げ出せないのが
人生なのさ


自由詩 雨が降らなければ地は潤わなくて Copyright こたきひろし 2019-02-22 12:54:01
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