重力
あおいみつる

春の空は霞んでいた
梅の花もほころび
ダウンジャケットをリュックにしまい
自転車にまたがり坂を下る
気分は爽快なのだが
次第に世の中の見えない重力が肩にのしかかり
理想的な春の日も消滅する
誰が悪いのか
俺が悪いのか
矛盾だらけの不完全な世の中に期待しては裏切られ
傷ついて
へとへとになっても死にきれず
飯を食らい
風呂に入り
冷たい寝床に入り
背中を丸めて眠る
いつもの夢は深層心理の産物のようで
本当の俺の心を映し出しているのかと
それを悔んだり
懺悔したりして目を覚ます
トーストにコンビーフを塗りたくり
コーヒーで目を覚まし
また一日が始まる
理想の一日を目指し
今日も坂を下る



自由詩 重力 Copyright あおいみつる 2019-02-20 14:19:26縦
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