鬼灯が紅くなる頃には
こたきひろし

鬼灯の実が紅くなると中身を綺麗に抜き取って空にした
それを口に含んで上手に鳴らした

脳裏に仄かな明かり
思い出には靄がかかっていた

子供らはとても無邪気
数人の男のこのなかに女のこが一人混じっていた
そのこが鬼灯の実を鳴らしていた

子供らはとても無邪気
男のこたちはベーゴマを回して競っていた

子供らはとても無邪気
女のこはベーゴマを回して遊ぶ男のこらを眺めていた

子供らはとても無邪気
遊びに夢中になって日が落ちて暮れた

思い出を削除できない
過去の深層に沈めた何かを隠してあるからだ

子供らはとても無邪気
無邪気は残酷に繋がる

男のこらはベーゴマを回して遊ぶのを止めた
その内の一人が提案した
女のこの体はどうなってるんだろう
見てみたい触ってみたいと言い出した

鬼灯の実が紅くなった頃に
女のこは中身を綺麗に抜き取って空にした
それを口に含んで上手に鳴らした

その先の記憶は消してある


消ゴムで都合よく


自由詩 鬼灯が紅くなる頃には Copyright こたきひろし 2019-02-20 09:49:05
notebook Home 戻る  過去 未来