Pantoum
ふるる

もっとも、彼らがそうせざるを得なかったのには理由がある
激しく打ち寄せる波が陸を削っていていそがしく
こまり顔がかわいい少女は星を食べる
水を売る老人が身体を捨てようとしている

激しく打ち寄せる波が陸を削っていて、いそがしく
ロケット発射の秒読みがはじまる薄暗い朝
水を売る老人が身体を捨てようとしている
僕たちの自由は常に侵略の憂き目にあう

ロケット発射の秒読みがはじまる!薄暗い朝
寂しい。凹凸のある壁。草の汁。
僕たちの自由?は常に侵略の憂き目にあう
布団を干している時も「採点は始まっている」

寂しい…凹凸のある壁…草の汁…
哀しみの風が街をなでるのに街路樹は揺れない
布団を干している時も採点は始まっている
愛という言葉の扱いに慣れている人はいない

哀しみの風が街をなでるのに…街路樹は揺れない
治安の悪化と共に名士の存在も忘れられてゆき
愛という言葉の扱いに慣れている。人はいない
というのは多分嘘だからどうすれば本当に見える

治安の悪化と共に名士の存在も忘れられてゆき
僕は砂漠の迷い子、君を探している
というのは多分嘘。だからどうすれば本当に見える?
何も知らないのはそう、とても幸せなこと、だよね

僕は砂漠の迷い子、君を探している
会社で使うファイルを落したんだろうか
何も知らないのは?そう、とても幸せなことだよね
諦めの悪いものの言い方、広い視野の移民

(会社で使うファイルを落したんだろうか)
銅版画の先生の指は黒く染まっていて楽しい
諦めの悪いものの言い方、広い視野の移民
羽根飾りの女性たちはみな、あいまいに笑って返事をしない

銅版画の先生の指は黒く染まっていて。楽しい
ファッションショーは春の午後静かに開催され
羽根飾りの女性たちはみな、あいまいに笑って返事をしない!
困っているならなぜ、助けを求めないんだろう

ファッションショーは春の午後静かに開催され
バターとハチミツ、少しの花々で昼食は終わった
(困っているならなぜ、助けを求めないんだろう)
そんな風にやさしく、後ろ姿だけ、

バターとハチミツ、少しの花々で昼食は終わった
ぬれそぼった夜の道で彼らは倒れ伏し
そんな風にやさしく、後ろ姿だけ、
やめられると知っているのにやめることをためらっている

ぬれそぼった夜の道で彼らは倒れ伏し
もっとも、彼らがそうせざるを得なかったのには理由がある
やめられると知っているのにやめることをためらっている
こまり顔がかわいい少女は星を食べる







Pantoum
パントゥムは四行連詩の詩型。連の二行目と四行目が次の連の一行目と三行目となる。最終連は最初の連の一行目と三行目が二行目と四行目となる



自由詩 Pantoum Copyright ふるる 2019-02-20 00:12:39
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