自爆スイッチ
パン☆どら

ある日
私が道を歩いていると
少年の私が泣いていた

「どうしたんだい?」
私が少年に声をかけると
目の前に黒い鞭を持った男が現れた

「キミは誰?」
「私はその子の教師だ。その子のために鞭打たなくてはならない」
すると少年は怯えて私にしがみついてきた

その教師の目を見て私は笑った
「いいかい、坊や。人には必ず一つくらいはいいところがあるんだよ。例えばこの先生だけどね」
少年は小さく震えていた
「たとえいま死んでも、ちっとも悲しくはならないってところさ」

すると教師は怒り狂って鞭を叩きはじめ、私に向かってきた
私はひょいと避けて、彼の背中にあるスイッチをオンにした
その教師がこちらの方を振りかえると突然爆発した

「ほらね」
機械はまだ少しだけピクピクと動いている
少年の私は嬉しそうだった
「この男は自動機械なのさ。だからちっとも悲しくはならない」
私は頭を踏みつけた
機械は二度と動かなくなった


私は目覚めた
「いやなものを見たな」
パンを焼き、卵を焼いて朝食にする
一向に嫌な気分が消えなかった

私は背中を探った
「誰か入れやがったな」
私は背中のスイッチをオフにした

コーヒーを飲みながら、考え事をする
いったいいつまで自分は生きるのだろう


自由詩 自爆スイッチ Copyright パン☆どら 2019-02-12 19:29:10
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