ことばの序破Q ☆
atsuchan69

草と魚の匂いのする
傲慢なことばに、
茹でたブロッコリーと
エディブルフラワーを添えた

ソースは煮詰めたバルサミコ酢
桜えびと蓮根チップスも散らして、、
皿はロイヤルコペンハーゲンのブルーフルーテッド
まあ、珍しくもない絵柄のプレートだ

――料理する前、
ことばの頭には薄紅色の恥じらいがあった
わたしはたわしでそれを洗い落とす
たわしもわたしでそれを洗い落とす
冷たい井戸の水を張った
小さな杉桶の中に、
薄紅色の恥じらいが煌めくように落ちてゆく
そう、薄紅は汚れではなく、
心からの恥じらいだった

ことばの頭は、そういう顔をしていた

水色の硬い鱗で包まれたことばの身を捌く
鱗は、
油で揚げると鮮やかな紫に変色し、
食材としても使えるので捨てたりはしない
銀色の皮も、
テリーヌやスープの具材で使うと良い
そして骨だが、
これはしなやかで強靭だ
殆どの場合、
料理人はこの骨だけは捨ててしまうのだが
庭に穴を掘って埋めてやると
翌年のその時分、
草と魚の匂いのすることばが、






て、
恥じらいの顔をちらっと見せるや
勢い、
池にザブンと飛び込んで泳ぎはじめる


自由詩 ことばの序破Q ☆ Copyright atsuchan69 2019-01-29 10:01:56
notebook Home 戻る  過去 未来