冬空蝉物語
朝焼彩茜色


人の力ではどうしようもない出来事に
さらわれた
行方不明の親族の亡骸が
骨だけになってしまったけれど
見つけた
帰宅した
そのように 見ていた
私は

七日間の旅立ちに巣立ちに
見送りを身体で柔軟に感じた
琥珀に透く守り神
戦わない鎧 琥珀が掬う 守り神

小さな魂の余韻を受け取った冬
亡骸が帰って来たよと喜んだ
亡骸という目にうつるもの
お空にいったら見えないもの
息はしていなくて動かないけれど
亡骸が遺骨がそこにいるだけで

救われた時間がある

蝉のブローチを胸につけた夏
お空の蝉
小さな魂
此処と繋がっているのを感じて喜んだ
私は


自由詩 冬空蝉物語 Copyright 朝焼彩茜色 2019-01-21 12:28:37縦
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