大河の流れに見る夢
メープルコート


 悲しみに久しく、愛に飢え、欲望のままに生きた。
 傷口を広げ、流れ出る鮮血を舐め合い、瞬間の癒しを求める。
 痛みを伴う快楽にその身を委ね、探り合いで過ぎてゆく日々。
 死を意識するともう死ねない。

 重複する意識の変転に疲れ果て、涙も出ない。
 くだらない友人の話に唾を吐き、空間を彷徨う煙草の煙を追いかける。
 瞳だけが別の生き物のようであちらこちらを自在に動き回る。
 血圧上昇中。血圧上昇・・・中・・・。

 夢を前世に向けると遥かに広がるモノクロームの光景。
 感情に色が無くなる。私も、あなたも。
 ようやく訪れる精神の安定。

 目の前のグラスに注がれたコカコーラだけが現実。
 喫茶店を出ると目の前には大きな川が知らん顔して流れている。
 もう死にたいね。・・・何にもわからないくせに。
 


自由詩 大河の流れに見る夢 Copyright メープルコート 2019-01-12 01:30:43
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