スケッチ:夜明け前
塔野夏子

夢の痛みが灯る街角を
回遊する銀の魚群をすり抜けながら
君は物語の解体と再構築を繰り返す
君の中で発火する思惟が
気難しくも美しいあるひとつの構造を浮かびあがらせる
時の流れの中にふと訪れるざらついた違和感を
鋭角的な落書きに変えて
メリーゴーラウンドから逃げだした木馬たちが
アヴェニューを疾走してゆくのを見送って
君は君の扉を開けて
歩きだす
その先の日々に降り注ぐ残酷な祝福を
幾重にも予感しながら




自由詩 スケッチ:夜明け前 Copyright 塔野夏子 2019-01-11 11:21:23
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