わたしの冬
唐草フウ

ひとの形をしている友は
寒い寒いくにへ行って
そのまま凍えて雪になった

ひとの形をしていない友よ
くちは利けずとも まだ
わたしの隣にいてくれる友よ
心臓などなくても
温かい友よ


冬の雲を見ていると
しずかにオルゴールの音が呼んでいる
しずかにしている空の奥から
寂しいとも恋しいとも発しない声だけが降ってくる


急にのどを潤したくなって
自販機に駆け込む
押してわたしに出てきたのは
「冷たい」手の模型だった






自由詩 わたしの冬 Copyright 唐草フウ 2019-01-08 13:12:46
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