人類破滅上等
紀ノ川つかさ

世界の人口が百人だとする
この先人類が存続するためには
生産性のない人を何人まで許容できるのか? 何人までいいのか?
十人? 二十人? 五十人?
十人? 二十人? 五十人?

いやいやそんなことを考えてはいけない
たとえば十人とか決めてしまったら
十一人目から殺さなきゃいけない
殺人を許す気か? いったい何人殺せる?
一人? 二人? 五十人?
一人? 二人? 五十人?

そもそも生産性なんかで
人間の価値を決めるなんてことは
大きな間違いだ
生産性なんかなくったって
生きていればいいのさ
それでいいんだ
それは命だ 命だ 尊ぶべきだ!
命だ 命だ 尊ぶべきだ!

生産性なんか何も関係ないさ
人間の価値はみんな同じ
世界の人口が百人だとしても
誰もの価値は同じ! 百人同じだ
それは命だ 命だ 尊ぶべきだ!
命だ 命だ 尊ぶべきだ!

 えー、ここまではいいですかね?
 大事なのはここからでございます

しかしその世界の百人のうち
我々人類が存続できるため
生産性のない人を許容できる数は
厳然と存在はする
確かに存在する 
誰が望むとも 望まざるとも
誰が望むとも 望まざるとも

存在はするはず だがしかしそれは
誰も見てはならない 誰も触れてはならない
言葉にしてもいけない いいから黙っておれ
たとえ存在するとしても 考えてもいけない 
それを考えること それ自体で罪だ
それを考えること それ自体で罪だ

だから私達が人間でいるために
全てを許容すると宣言するしかない
生産性のない人が増え続けてその結果
生産力が足りず人が死んでいき
破滅に向かっていっても
破滅に向かっていっても

人の心を捨て弱い者を見捨て
心を汚してしまうくらいなら
全てを許容しろ破滅したっていいじゃん 
これが正しい道だ 正しく生きろ
人類破滅上等 これが正しい道だ
人類破滅上等 これぞホモサピエンス
人類破滅上等 これが正しい道だ
人類破滅上等 これぞホモサピエンス



自由詩 人類破滅上等 Copyright 紀ノ川つかさ 2019-01-06 17:13:46縦
notebook Home 戻る  過去 未来
この文書は以下の文書グループに登録されています。
バイオエシックス