幸せの欠片
秋葉竹


掴んだ雲が重くて手放したときの
坂の上の影が救われない模様なら
だれの種を拾いながら歩いても
私の目の前には、剥がれない絶望があるのだから

太陽は昇っても手を振ってくれるだけ
絶望は昇らないし、ましてや剥がれない
なにを選ぶのも程よい癒しが必要なら
私の背後にしゃがみ込んだ苦しみも不要だと言えるのだから


目の前の冷たい氷水を迷わずに飲み干して
癒しも苦しみもないよ生きていくだけのことさと
選ぶものをその欠けた白い氷に傷跡として付け加える
理屈以外の悲しみを誰もが知って、持っているのだから

いくら鉄は熱いうちに打っても
なんの意味もない一生だって、あるからね。
その洗礼を受けた昨日の神頼みには
忘れてはいけない幸せの欠片が隠されているのだから




自由詩 幸せの欠片 Copyright 秋葉竹 2019-01-06 11:06:00
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