夢みる少年だった頃
こたきひろし

まだ
彼が夢みる少年だった頃
父親と母親は不仲だった

まだ
彼が夢みる少年だった頃
彼にとっての両親は
生きている価値のない存在だった

まだ
彼が夢みる少年だった頃
彼もまた生きている価値のない存在かも知れなかった

まだ
彼が夢みる少年だった頃
なのにどうして
真夏の昼下がり彼が体調を悪くして学校を早退し
家に帰ると
父親が母親の乳房のその乳首を口に含んでいたんだろう
二人は彼の帰宅に気づき慌てて体を放した

まだ
彼が夢みる少年だった頃
見てはいけなかった
見たくはなかった
知ってしまった
父母もまたその正体は雌雄の獸
だった事実

まだ
彼が夢みる少年だった頃
彼もまた
射精した


まだ
彼が夢みる少年だった頃
自分の体の中からわきあがる性の欲望を
彼は抑えきれずに

猿のごとくていんした
猿のごとくていんした


自由詩 夢みる少年だった頃 Copyright こたきひろし 2019-01-06 00:08:15
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