幸も不幸も
ただのみきや

けれども雲はいつも太陽を仰いでいる
暗雲だから項垂れて地を見下ろしているとは思うな
幸福を見つけた者が全てを置き去りにするように
地のことなど顧みはしない
どれだけ雨が降ろうが雪が積もろうが
人の暮らしが脅かされようが
幸福とはある種の無関心
目に入らないから幸福なのだ
うっとりしながら流れて薄れ
消え去ることにも気づかないまま
雲は今日もただ見つめていた
そこに在ってただ遠く
触れることもなく与えてくれる
あの麗しい天の火球
己以外には全く興味を持たない
日毎に目減りする不幸を嘆く究極のナルシストを




                《幸も不幸も:2019年1月2日》








自由詩 幸も不幸も Copyright ただのみきや 2019-01-02 16:42:42縦
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